平成279月定例会 一般質問

2015,09,03(木)

皆さん、こんにちは。市民クラブの船木正博です。

前のお二人の質問と重なる部分もありますが、市長は真摯にお答えください。

 

NO.1は、男鹿駅周辺整備基本計画についてであります。

一つ目として、公設民営方式の危うさ、について取り上げてみます。

最初に、公共事業は破たんしても行政が事業主体だから行政任せという状況に陥りやすい。

自治体が関与して税金で建てた施設が失敗すれば地域の重荷になってしまう。

ということを申し述べておきます。

地域振興という名目で行政が施設整備を税金で行い、その施設運営を民間に委託して生じる問題点はどこにあるのでしょうか。公設民営とは基本的に自治体が主体となって、施設そのものは税金によって開発されています。作った施設を指定管理者制度を活用した第三セクターなどに任せて経営してもらうというモデルが主流となっています。もし、民間が事業として施設を開発するならば、施設整備の初期投資部分の回収も含めて施設運営の売り上げから捻出するのが常識です。しかし公設民営施設は初期投資は税金でつくられています。したがって、その部分については稼ぐ必要がないという前提になってしまい、事業計画の段階から、あまり売り上げが上がらなくても成立するという環境になってしまいます。税金を投入し、大枚のお金はかかっているのに経営上、売り上げのハードルが楽になるという歪んだ状況がここに生まれます。

結局、損益分岐点が歪んだ通常より低い水準で容認され、生産性は低くても維持可能な環境そのものにあります。運営を任された第三セクターなどの売り上げ向上、改善に向けての努力があまり行われなくなり、自ずとその地域本来生まれるはずの生産性が上がらず、利益が少なくなってしまうのです。

逆に、公民連携の手法のように事業規模に対応した初期投資を官民がパートナーを組んで行い、より高い利益を生み出そうとして売り上げの水準を上げていこうというサイクルの先にこそ活性化が見えてきます。

公設民営方式では経費面でもマイナス効果を生み出します。行政が計画する施設は過剰な内容になりがちなことから、その過剰投資した施設の維持管理費は売上からも高い施設維持管理費が差し引かれて一段と薄利になったりします。行政が中心となって立派な施設を建設するため、こうした過剰投資は税金だからこそ可能なので、それらは結果的に自治体の財政負担=市民の負担、県の支援=県民の負担ということになり、すべて我々の負担で成り立っているのです。勿論、自治体が新たに予算を組めばその分、財政は悪化するわけです。

結局、事業主体が行政であるという初期段階からの依存構造が発生してしまい、施設の運営を委託された業者等は事業主体としての意識が希薄になりがちで、受け身の姿勢を生み出す構造が大きな問題となります。さらには、安易な脱退も考えられます。

結局、最終責任は自治体な訳ですから。そこに公設民営の危うさが生じるわけです。

参考までに、公設民営ではない、公民連携施設として全国的にも知られた、岩手県紫波町のオガールプロジェクトの産直施設である「紫波マルシェ」を参考に取り上げてみます。

商業施設の一つである「紫波マルシェ」は一言でいうと産直市場+肉屋・八百屋の複合業態です。普通に市中銀行から借り入れをして施設整備をして立派に黒字経営されています。これは全体の事業計画から逆算し、建物は坪当たり40万円未満という民家並みの低い建設費と、初期参入者の加入者登録制度などによって成功しています。この紫波マルシェは完全に自前でやっているため地元産品だけという制約はなく、年間を通して安定的な経営を実現しています。これは施設を開発し、その運営を担い、事業責任を取るのが「オガール紫波株式会社」であると明確でかつ一貫しているからです。即ち行政任せではなく、民間が運営している訳です。本来、商業施設などをつくる場合はトイレなどの公共機能部分は行政が整備するにしても、その付随施設は参入者が事業を考え利益から逆算して施設規模を計算し、資金調達をして経営するのが基本です。何でもかんでも行政が支援し、先行投資を続ければ、民間は行政への依存心が強まり、正常な民間の活力がどんどん失われていきます。民間でできることを考え抜いて実行することこそ、しっかりと地に足の着いた経営方法といえましょう。

以上、公設民営の問題点と、公民連携の優位性について述べてみました。今一度立ち止まり、じっくり精査した上で、男鹿駅周辺整備基本計画を公民連携手法を取り入れた計画に変更するべきと考えます。

本市では7月29日に男鹿市複合観光施設設営推進協議会を設置したということですが、その役員・専門部会会員で実際に施設に参入する意思のある業者はいるでしょうか。ただ役員として意見を述べるに留まっているのか、積極的に参画の意思があるのかどうか、その意気込みを確認した上でメンバー選定しなければいけないと思います。やってみなければ分からないでは困るし、これから探すのでは遅すぎます。施設完成後、誰も入居せず、初めから空室が出るという事態もあり得ます。参入業者をしっかり決めて、なおかつ負担割合をきめて責任を持たせた上で基本計画を進めるべきです。それがまだなら、この計画はいったん中止すべきと考えます。いろいろな話を集約すると拙速すぎるという意見が多く、もっと周知徹底を図りながら、しっかりした計画の基に進めるべきです。「市町村未来づくり協同プログラム」で県との関係もあるでしょうが、男鹿市の将来にかかわる重大事項ですからメンツに拘るべきではないと思います。それより将来に禍根を残さないことが大事です。石橋を叩いて渡るべきではないでしょうか。予算的には地方創成関連や合併特例債など、いろいろな補助制度があると思います。

改めて、紫波町のオガールプロジェクトのように、公民連携施設として計画を立て直し、運営会社やプレーヤーをしっかり決めてから再度取り取り組むべきと考えますが如何でしょう。

 

次に二つ目として、議会からの指摘事項についてであります。これまでの議会全員協議会や委員会での説明や、各議員からの指摘事項について、私なりの考え方で取り上げてみたいと思います。

市民への説明会では、賛否両論、指摘・要望等いろいろあったようですが、指摘・要望の中で、「この計画は船川だけの問題ではなく、他の地域の人たちも納得の計画である必要がある。」ということと、「船越の観光案内所がもったいない、もっと力を入れたらどうか。」という意見がありました。この二つをどういう具合に関連付け、納得させるのか考えをお聞かせ願います。

また、直接、私が船川の住民から聞いたところ、こう言う意見もありました。「20年前だったら良かったが、今更遅いとみんな冷めている。9億円も税金をかけるなら福祉や観光など、もっと他のことに使って欲しい。」と言う意見でした。このことをどのように考えますか、お答え願います。

また、議会からはこういう意見もありました。市民への説明会の仕方のまずさ、複合観光施設設営協議会の強引な進め方、まだ決まっていない9億円を持ち出すなど、全くの議会無視、市民無視と感じている。あせって県の未来づくり協同プログラムありきでやっているが、2億円はどうでもいい。ちゃんと時間かけてやったらどうか。という意見です。

このように、現時点では市民が納得し、同意を得るのは大変なことだと感じます。住民の盛り上がりも感じません。説明会出席者から否定的な意見はないという報告を当局から聞きましたが、私たちに入ってくる情報は、圧倒的に否定的な意見が多いです。民意の反映という意味ではもっと詰めた報告会や意見聴取をした方がいいと思います。実際に否定的な意見が多いとすれば、この当局との差をどうやって縮めるのか、最近は地域の将来を真剣に考える住民が増えてきています。事業達成のために、どのように道を切り開いて行こうとしているのか、その決意と自信がありましたらお示し願います。

さらに、基本設計業務の発注を8月5日に指名通知したということですが、それはどういうことなのか。それぞれの懸念や問題を解消してからと言うことではなかったのか。如何にも決まったような感じで物事が進んでいますが、その懸念や問題はまだ解消されたとは言えません。何も変わらず今のままでは納得がいきません。運営主体もプレーヤーも何も決まっていないではないですか。こちらの方が先決問題であり、私たち会派はそのことが重要であると考えています。運営主体である運営会社が、まだ決まってないとなると、運営会社の方針や意向を示すことができません。専門部会で誰が出店して設備投資をしていくのか、それが決まらなければ、出店者の意見や考えも反映されません。それでどうやって設計を進めていくのでしょうか。そんな体制が整わない状態で本当に設計業務ができるのかどうか疑問であります。6月議会の折、我々の指摘事項に汗を流して頑張もらえると理解して委託料を認めたが、何も変わっていない。このまま強行突破しようとしているのか。それでは紳士協定違反になる。そういうことであれば我々にも覚悟がある。姿かたちが見えないまま、委託料の予算執行は如何なものかと考えております。

結局、先に期限ありきで時間に追われてアタフタと見切り発車したようで、非常に危険なものを感じるのは私だけでしょうか。負の遺産になるのをみんな心配しています。やはりこの際、思い切って県にはこだわらず、しっかりした計画のもと、もっと市民が盛り上がるような確実な事業を進めるべきではないでしょうか。くどいようですがこれが最善策と思いますので善処していただきたいと存じます。

次に三つ目は、このまま進めるべきか否や、と言うことです。

これまで述べてきたように、この計画をこのまま進めるべきか、あるいは今一度立ち止まってじっくり精査してから現状に合った計画を進めるべきか、再度問いたいと思います。同じ税金を投入するのであれば、男鹿市存続のためにもっと可能性のある場所を選定し、規模を見直し、予算設定したのち、住民説明会を実施し、市民の理解を得たうえで進めるべきだと思います。事業は勿論、実効性のある公民連携手法を取り入れるべきでしょう。新国立競技場と五輪エンブレムでさえも白紙撤回しました。いけないものは素直に変える勇気が必要でしょうす。何も恐れることはありません。男鹿市の未来を誤ることのなきよう思い切った英断の時です。事業の再検討を強く望みます。

市長は良〜く考え抜いた上、ご返答くださるよう、宜しくお願いいたします。

以上、男鹿駅周辺整備関連についての質問でした。

 

次にNO,2は、男鹿観光の振興についての質問です。(1)として、男鹿観光の現状は、について伺います。

男鹿市の昨年の観光客総入り込み数は約286万人でした。昨年は国民文化祭と種苗交換会がありましたのでこの数字は特別として、平成24年以降から年間の総入れ込み数は若干回復していますが、宿泊数は厳しい状況にあります。海外からは1,500人前後で非常に少ない数字です。近年は観光客の旅行形態も変わってきました。

 

*市長はこの観光客の動向から現状をどう分析し、どのような振興策を考えているのかお知らせください。

 

 

次に(2)は、課題と問題点についてであります。

最初に、考えられることをざっと述べてみなす。

 

・機動力が弱く各団体が一体化されていない。

・地域一体となって魅力を向上させ、観光と交流の理解促進を図っていくことが重要である。

・情報共有を行い、議論する場が必要であり、財源の確保も検討する必要がある。

・受け入れ体制の整備、とくに、二次交通の見直しが急務である。

・男鹿全体にとって冬の観光対策改善が課題である。

・景観+スポーツ振興で誘致強化を図る。

・地域の自然や生活、食を生かした様々な体験プログラムの準備。

・教育旅行、研修旅行を各種団体及び周辺自治体と連携しながら誘致活性化を図る。

・郷土料理、地場産品を活用した「料理研究会」による新メニューの開発や既存商品の改良が必要。

・東南アジアをターゲットにした訪日外国人の獲得とインバウンドの取り組み

・外国人向け表示、通訳、食文化等の受け入れ環境の整備が必須。

・情報発信の強化や無料でインターネットを利用できる環境整備が必要。

・資源の回復を図りながら、市民や観光客に新鮮な魚介類を提供する。

・農水産業と観光が一体となった地産地消の推進と、交流人口拡大による地域活性化。

・男鹿半島を連想させる地域イメージの醸成。

・観光・交流施設の魅力づくりと、観光資源の掘り起こしと、磨き上げ。

・受入れ態勢の強化と、効果的・効率的なプロモーションを展開する。

・「食」は観光客拡大の重要ポイント、男鹿ならではの「食」を生かした観光誘客の促進。

 

*以上、縷々羅列しましたが、これらについての取り組みと対応がありましたらお知らせ願います。なお、返答無きものは、後の検討課題として頂きたく存じます。

次の(3)は将来の展望は、についてであります。

今後、観光の交流を促進するために、観光関係者他、各種団体と男鹿市が一体となって地域全体で国内外の観光客を受け入れていく必要があると思われます。

さらに、観光資源の掘り返しを男鹿市全体で協議し、新たな資源を提供することで、将来の展望が開けてくると思うのですが如何でしょう。

 

*市長は男鹿観光の振興について、どのような将来展望を持っているのかお聞かせください。

 

 

 

 

次の(4)は、インバウンドの成果は、について伺います。

市長はこの8月に、秋田県海外トップセールスとして、秋田県の佐竹知事、他の御歴々とタイ王国及び台湾へ訪問してきたと聞いています。大変お疲れ様でした。まずは無事に帰られたことをお喜び申し上げます。さぞかし良い成果をお持ち帰りのことと思います。

そこで今回の歴訪についての目的や内容、意義等をご説明願います。また、訪問先であるタイ王国と台湾それぞれの状況及び反応、感触や今後に繋がる手応えはあったのかどうか教えてください。

さらに、インバウンドとしての成果があったのか、今回の経験をどう生かしていくのか感想等を総括していただきたいと存じます。

 

以上で第一回目の質問を終わります。市長の誠意あるご答弁をよろしくお願いいたします。

 

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